格助詞「の」
……ぶっちゃけタイトルで損してるんじゃないかと考える今日この頃。
「n年勤めた会社を退職しました」とか「○○ダイエットを1ヶ月やってみた結果」みたいな中身が分かりやすい方がいいのかな?みんな見てくれるのかな?と。
しかしやめない。やめないぞ!
「開けてびっくり」という古き良き言葉を信じ、タイトルだけでは中身が分からない記事を書くという信念を持っております、どうもわたしです。
……と言いつつ一旦タイトル回収しますと、先日「リップヴァンウィンクルの花嫁」という映画を観てきたことに由来するんですね。
このタイトルの「の」は、格助詞「の」の数ある用法のうちどれなのかな、とずっと考えていまして。
具体的には、「リップヴァンウィンクルという人物のお嫁さん」なのか、「"リップヴァンウィンクル"である花嫁」なのか。
ダブルミーニング説も大いにありますが。というかたぶんダブルミーニングなんだろうなあ。と思いました。
※リップヴァンウィンクル、とはアメリカ版の浦島太郎みたいな話です。まあぐぐってください。映画をご覧になっていない方に補足しますと、物語の主要人物(主人公ではない)のSNS上のハンドルネームがリップヴァンウィンクルなのです。
この映画の話もおいおいしたい。原作小説もサントラも買って泣いたということでお察しください。
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そういえば私にとっては教科書や参考書を開く方がティーン女子向けの雑誌を開くより簡単だったなあ、と10年くらい前に思いを馳せたのが今日の夕方の話。
女子力はなくて助詞力があった。なんつって。
助詞にとどまらず、古典では助動詞の用法や活用や接続を完璧に覚えちゃったりね。一応理系と呼ばれる分野の出身ですが、実は国語結構得意だったんです。全国模試で県内1位とかも取ったことあるんですよ。
流行に乗りたいとか、トレンドのスタイルじゃないなんてダサいとか、そんな気持ちは全くなかった、お芋さんのようなJKでした。
でも実は服飾についてひとつだけ密かな夢があった。
それは「ロリータファッションをしてみたい」ということ。
ちなみにいわゆるピンクのフリフリな甘ロリではなく、クラシックロリータかゴスロリのファッションとメイクをしてみたかった。
……何度も言ってますが地元が田舎なので、一番栄えている駅前ですら浮きます。
てか服を調達する前に化粧品の使い方分からないし、持ってない。母親のを使う?無理無理。
それに、自分の外見が気持ち悪いって思ってたから。
いくら可愛い服を着てもダメ、というかむしろもっとダメ。
くさやにカスタードクリームかけるようなもん。
自分で言うのもアレですが、実はスタイルはそれほど悪くはなかったんですよ。
高3当時ですと身長155cm体重46kgのBMI19、バストはDカップ。
残念ながらウエストとヒップは当時測ったことがないのですが、まあ体重から察してくださいね。
でも、ド近眼で眼鏡をかけた自分の顔ぐらいしかまともに見たことがなかったので、当然凹レンズのせいで目は実物よりかなり小さく見える。
いいとこ見つけよう!二重まぶた!……と言っても奥二重。
おまけにそばかす持ち。腕にも痣がある(※自傷痕ではなく、生まれつき右腕が斑模様なのです)。
ある年の部活の合宿の部屋着にゴスロリ服を持ってきた友人に憧れつつも、同じぐらいの体格だから借りることもできただろうに先述のくさやカスタード理論(!?)から何も言えなかった夏。
くさやカスタード理論、厄介な呪いでした。
いじめられてたときに同級生に顔のことを言われた、それだけが原因じゃないんですよ。
それ以前も母や祖母に「あんたは見た目がよくないから中身や頭の良さで勝負するしかない」「いとこの○○ちゃんぐらい細ければねえ」と言われていたのも大きかった。
お姫様になる、お嫁さんになる、みたいな無邪気な夢は見られなかったなあ。
そして、その夢は大学生になって親元を離れたのち、すこーしだけ叶いました。
1年の春に、同じ高校出身のベーシストと軽音サークルに頼らず同級生の女子を集めてダメ系(アニメやゲーム、ボカロ曲を演奏する)バンドを組んで、初めてのライブに参加するときの衣装どうする?という話になった際に、メイド服を買うことになりました。
メイド服!
本当はロングスカートのクラシックスタイルが良かったけど、メイド服!!!!
届いたのは3000円~4000円ぐらいの、パーティーグッズのようなメイド服。レースなんて使われてません。まあお金のない大学生だから仕方ない。
でも、ささやかながらフリフリしている!
エプロンの肩紐部分やカチューシャにフリルがついている!
高校生のときは体育のときしか使わなかったコンタクトレンズを入れる。
東京出身で、高校時代コスプレをやっていたドラマーに簡単ながらメイクを教えてもらう。
髪をツインテールにして、この日のためにふたつ買っておいたふわふわの白いシュシュをつける。
5人並んでガラケーで写メを撮ってもらって、
感動した。
いや、一般的な視点から見たら全然可愛いのうちに入らないんだけど。
可愛い女子がふわふわパンケーキにカスタードだとしたら、私はトーストにマーガリン塗ったぐらいだけど、それでもくさやからは大きく飛躍した。
それからはアクシーズファムとかでレースやリボンのついた服をためらいなく買うようになった。
呪いが少し解けた瞬間でした。
しかし同じぐらいの時期、バンドとは別のコミュニティで男性におデート誘われたときにドラマーの子の教えを守ってバリバリにキメたメイクと服装をしたものの、その後お付き合いするにあたり「普段の飾らない方がいいし眼鏡に戻してほしい」と言われ、まあ毎回バッチリメイクすんのもめんどいしな、と思って元に戻ってしまったんですが。。。
可愛い自分になれるのは嬉しいけど、可愛くなるための準備しんどくないか?
あと、求められるのもしんどくないか?
大学院在学中なんかはもう実験実験アンド実験の日々だったので、私に限らず「今日化粧する暇なかったからマスクやわ」みたいな同期女子も結構いて気が楽だったけど、会社に入ったら毎日「マナー」として化粧しないといけないし。
私が「あの人きれいだなー、髪や服装もこだわってるなあ」と思っていた女性社員に対して、他の男性社員が「あの子は身だしなみに手を抜いてる」と言ってて鳥肌が立ったり。
いくらありのままの自分を愛してほしいと叫んでも土がついたままのジャガイモは食えない、とはよく言ったもので、ある程度は整えないといけないのは分かってます。
でも、なんだろう、このモヤモヤは……
教科書や参考書を開く方がティーン女子向けの雑誌を開くより簡単だった、というのはきっと高校時代だけの話ではなく、もうそういう人間になってしまっているというか、なってしまっていたんじゃないかなと。
でもその代わりにこうやって長い文章をダラダラ書き連ねることができるんですよ私は。
文章を書くことはさておき、今までに蓄積したそれなりの知識量と、正しいとされる知見に辿り着くための調べ方、読み取り方は私のひとつの武器であり、身に染み込んでいるようなもの。
サササッとメイクができる代わりに得たものなのです。
だから、もう誰もこれ以上呪いをかけないで。
……タイトル、"きもいかわ"にしてもよかったかな。
来週末の三連休に、実家と母方の祖父母の家に帰ってこいと言われました。
明日病院に行くついでに新幹線の切符を買えと。
私が精神科に通っていることは親族の中では母しか知らず、年末年始の帰省をパスした理由は表向きには「1/2に海外対応の仕事があるから」ということになっている。
母と顔を合わせたらまた「太ったね」と言われるだろうなあ。
祖母には「年頃の娘さんなんだからもっと明るい色の服を着なさい」と毎回言われるし。
祖父には「次に会うときは旦那を連れてこい」と言われたし。
小さい頃に求められたとおりの人間になったはずなのになあ。
この映画のタイトルの格助詞がどうの、性決定遺伝子がどうのなんて考える人間じゃなくて、スリムな体型で明るい色の可愛い服を着て男の人と結婚してる女性にならない限り、ずっと刺され続けるのかなあ。
強くなりたいよ。
心を騙して作り笑いする、我慢する強さじゃなくて、呪いを跳ね返すような強さがほしい。
ほんとはそんな強さがいらない世界がほしい。